続 ・ たかがリウマチ、じたばたしない。

このブログは「たかがリウマチ、じたばたしない。」の続きです。喰うために生活することも、病気でいることも闘いです。その力を抜くこと、息を抜くことに関心があります。

反・支配のための「自主防衛」という理念

これは

マルクス主義はもはや可能ではないと思えること  その2/2 

の続きです。

 

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ワタシには、どのような意味でも社会主義スターリニズム国家に、自由や公平や福祉が実現され個人が解放された未来を想像することができない。

市民ブルジョア主義社会を経ていない、ロマノフ朝やら清朝やらの残滓に過ぎない後進的専制社会に期待できるものは何もない、と考えられる。

 

退潮するアメリカから中国への経済覇権移行を夢見る人もいるが、アメリカ・中国間の資本移動の歴史から、アメリカがコケれば中国もコケると冷静に分析している専門家もいる。

現代の国際経済連関において、中国がアメリカから敵対的に独立して経済が成り立ってきたはずがないし今後もそうならないことは、ワタシのような庶民でも想像がつく。

むしろアメリカと中国との対立が報道されればされるほど、それはフェイクであり、大国同士、別事案の「調整」(アフガン撤退後問題のような)が密かになされているのではないかと勘繰る方が正解、と思うこともある。

 

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アフガニスタン情勢をうけて、17日付けの台湾の新聞「聯合報」は「バイデンは軽々と盟友を見捨てた」と題した社説を掲載し「反中の先兵とされている台湾が、アメリカの裏切りに遭わないための自主権をどれほど持っているだろう」と警告しました。

最大野党の国民党の中からも「『中国が台湾に武力行使することはない。あればアメリカが助けに来る』というのは一方的な願望だ」などと、有事の際に最大の後ろ盾となるアメリカの信頼性を疑問視する論調が出ています。

(2021.8.18)台湾 蔡英文総統「唯一の選択肢は自主防衛」アフガン情勢受け | NHKニュース

 

台湾の報道は、中国が台湾に武力攻撃をしたとき、本当にアメリカは守ってくれるだろうか、突然、逃げ出さないだろうかという懸念からである。

これは当然の懸念である。アメリカと中国の二大国が「調整」し、「見捨てて」しまうことにすれば台湾は香港の二の舞になる。

台湾にとって一国二制度など絶対受け入れられないものである。

  

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台湾の蔡英文総統は、今次のアフガン情勢を受け、唯一の選択肢は自主防衛だと強調した。

 

蔡英文総統は18日、与党・民進党のオンライン会議で「台湾の唯一の選択肢は、より強大になり、より団結し、よりしっかりと自主防衛することだ。自分が何もせず、ただ人に頼ることを選んではいけない」と述べました。

 

そして、民主と自由の価値を堅持し、国際社会で台湾の存在意義を高めることが重要だと強調しました。

蔡総統は「台湾に対する武力行使を放棄しない人からの、いっときの善意や施しに頼ることは、もっと選んではいけない」とも述べました。(同上)

 

アメリカに対し釘を刺すような口ぶりでもあるが筋論である。

日本と同じように中国本土にごく近い、また沖縄本島からはたった700(東京・沖縄間の1/2以下だ!)の台湾では、堂々と自主防衛が政治トップによって宣明されている。

2020年の総統選にからめて、中国本土からの観光が禁止され旅行業界が大打撃を受けたり、蔡英文を支持する活動をした人々が危害を加えられたり、中国からのさまざまな工作があったにもかかわらず当選を成し遂げた人物である。

 

 (2020.1.13)台湾総統選、蔡英文氏が圧勝で再選 中国は見誤った? - BBCニュース

 

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トランプは、かつて韓国と日本からのアメリカ軍撤退をほのめかした。

第一、アメリカ世論が世界のあちこちにアメリカ軍アメリカ人)が駐留しているのを無駄遣い、人命軽視として好まないのである。

 

『中国が日本に武力行使することはない。あればアメリカが助けに来る』

 

こんなことを信じている日本人はほとんどいないと思われる

官僚らが条約だの協定だのショーも無い「紙切れ」を出して見せたところで、当てにはできないと思える。

アメリカが、日米同盟に則り十分信義を重んじたゆえの結論だ、とでも表明してしまえば何でも起こり得るではないか。                                                                                                                                                                                                                                                      

 

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中国の習近平国家主席は北京で演説し、台湾の統一に自信を示す一方、蔡英文政権やアメリカなどを念頭に、独立の動きや外部からの干渉を厳しく批判しました。

 

そして、統一の方法については「平和的に実現することが台湾同胞を含む中華民族全体の利益にかなう」と述べ、香港とマカオで取り入れた「一国二制度」の適用を目指す考えを強調しました。

(2021.10.9)中国 習主席 台湾統一に「一国二制度」適用目指す考え強調  | NHKニュース

 

台湾や世界からみれば、香港版治安維持法をつくって香港の一国二制度を潰した張本人が、何をかいわんやである。

台湾は、堂々と反論している。

 

習近平国家主席の演説について、台湾総統府の報道官はコメントを発表し「辛亥革命が打ちたてたのは権威主義専制ではなく、民主主義と共和制であって、今日の台湾で真に実現している。香港の現状は中国が約束に背いたことと、一国二制度が実行不可能であることを実証しており、台湾の主流の民意は一国二制度をはっきりと拒絶している」と反論しました。(同上)

 

日本は、東夷(とうい)、中華の東の異民族・蛮人、古代中国以来、格下の従属国に過ぎない、対等には扱われていない国である。

 

台湾が戦後の混乱を経ながら長期に非中国の民主化を進めてきたことに焦りを持つ中国が、台湾侵攻・併合の姿勢を決して崩さないように、日本に対等で温和な外交姿勢を示すとは現在も未来も考えられない。

 

アメリカでは「台湾が陥落した場合、日本は中国の軍事的脅威に直接さらされることになる。日本は台湾防衛で重大な役割を果たすだろう。日本は直ちに防衛予算(現在は国内総生産の1%)を少なくとも倍増すべきだ。」と主張している識者もいる。

(2021.10.28)台湾有事に備え米はアジアに集中を - WSJ

 

中国が台湾に侵攻した場合、中国の軍事力からして現在の台湾の防衛体制では太刀打ちできないことはハッキリしているそうである。

つまり蔡英文の言う自主防衛が近未来に即可能なわけではない。

だからアメリカの日本に対する「圧力」は、(先の引用のように)日本の主権を無視するほど、お見事と言ってみたいほど露骨である。

 

素直に現在を見れば、日本はアメリカと中国双方の板挟みにあっている。

これから先は、考えの分かれ目になる。

 

 

《追記》こんなことを思いながら、毎度ですが(期日前)投票に行きました。