続 ・ たかがリウマチ、じたばたしない。

このブログは「たかがリウマチ、じたばたしない。」の続きです。喰うために生活することも、病気でいることも闘いです。その力を抜くこと、息を抜くことに関心があります。

コント : オリンピックが始まる !

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リンピックをキッカケとする消費者物価上昇を防ぐ方法は、・・・東京の各家庭の主婦がオリンピックの前後約一か月の間は、外国人の選手や内外の観光客と競合するような材料の食べものは普段の月の1/3だけ減らして、その分のお金で値上がり率の低いカンヅメなどを買って、それを用いての料理法を工夫するとか、町に出かけたりタクシーに乗ったりの回数を2/3に減らすとかいったような、生活態度の一時的転換を今から用意して断行することによって、値上りに対して一か月間自衛することです。

賢明な消費者なら、泣き言をいうだけでなく、知恵と工夫をもって自分の希望を通すことにつとめなけばなりますまい。

(『婦人公論』、1964年10月号、坂本二郎氏)

 

これは山崎正和氏が「世界との邂逅」と題して引用した記事である。*1

 

敗戦後、東京オリンピックを華々しく掲げて、世界から人々を初めて迎え入れようとする檜舞台の開幕を前にしたときの、頬を紅潮させた人々の初々しい高揚と、(いまは無き)「知識人」の発言に素直に耳を澄ます緊張がよく伝わってくる、いい感じの記事だ。

 

情報通信技術の圧倒的な進歩によって、地球表面では同時進行でオリンピックを共有できる現在、利権も60年前とは比較にならないくらい大規模なものになっているだろう。 

 

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しかしいかにカネまみれ(商業五輪)を批判されようが巨大資本を投じた競技者のためのインフラ整備が無ければ(大)運動会は成立しない。

よく知られる競技者のための機能的で美しく強度のあるユニフォームや用具の目覚ましい進歩ばかりでなく、快適に競技をしたり観戦したりできるスタジアム建設の設計・施工技術も格段に進歩している。

そうした技術は確実に蓄積され次の大会以降に引き継がれていく。

 

仮に企業人として個人として直接に間接にオリンピックに関わったとしても、オリンピックを開催したり止めたりできない「部外者」に過ぎないが、商業五輪の渦のなかに紛れなければ手ごたえを掴むことができないものは必ずある。

このことを全否定することはできない。

  

こうしてワタシは淡々と商業五輪に紛れて、夜、ゆっくりできる時間帯にライブで(結果の分かっている録画はあまり面白くないので)観戦できる競技を漁っている。*2

 

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最初の東京オリンピックのときは、それなりにいい時代だったんだなぁ、とつい思ってしまうが、現在は、外国人を迎え入れる新鮮な高揚感も緊張感もまるでない。

 

そして尾身会長の「五輪期間中、都内3000人の感染者」はすでに実現してしまった。

ホレ、ミタコトカという「専門家」と現政権との溝は深まり、現政権は「専門家」に対し、馬耳東風の姿勢をさらに強めるだろう。

 

この日夕、菅義偉首相は田村憲久厚生労働相西村康稔経済再生担当相ら関係閣僚を官邸に呼び、急きょ協議を持った。・・・・・

警戒感を強調したものの、特段新たな対策の打ち出しはなく、国民向けのメッセージも従来の域を出なかった。・・・・・

専門家が警告していた「五輪期間中に3千人もあり得る」の予測が眼前に立ち現れつつある事態にも、政府、与党内は必死に平静を装う。

首相も周囲に「(感染者が2万人台の)英国に比べたら、日本はましだ」と強気な姿勢を崩していないという。五輪の成功に向け、国内の動揺を抑えたい思惑が透ける。

 

五輪さなかの感染爆発…現実味帯びる“最悪のシナリオ” 必死に平静装う政府(西日本新聞) - Yahoo!ニュース

 

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ところで、いっけん現政権にとって不利にみえる次のような事態は実は喜ばしいものとしか思えない。

 

しかし東京・渋谷の繁華街では、店の前に「オリンピック放映中」という貼り紙をするなどして酒を提供しながら営業を続けている店もあり、多くの客が訪れています。
このうち深夜12時まで営業している飲食店では、28日夜はオリンピック、サッカー男子の日本の試合をモニターで流し、多くの客が酒を飲みながら店の外まで聞こえるほど大きな歓声があがっていました。

 

五輪競技中継し深夜営業の飲食店も 都200人態勢で見回りへ | 新型コロナウイルス | NHKニュース

 

この夜のように、(ワタシも同じ番組を観ていたが)盛り上がれば盛り上がるほど行き詰まりのチョーケシ感が強まるからだ。

こうして大会が終われば、ヤッテヨカッタという隠然たる声を背景に、その成果を大々的に喧伝し、思惑通り衆議院選を乗り切っていくかもしれない。

 

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つまるところ、オリンピックも新型コロナも政争の具である。現政権と反現政権が争っている。

 

反現政権派は、オリンピックでいえばその失敗を切に願う人々だ。

期間中を通じ、ひたすら「スキャンダル」探しである。

選手村でコロナ感染拡大が起こる、選手村で犯罪、レイプ事件が起こる、選手村から選手が逃亡、行方不明になる、大会関係者の黒歴史が暴かれ辞任・解任騒ぎになる、クソ暑さに選手が倒れる、そのため棄権が頻発するetc.

こんな類を、鵜の目鷹の目で探し騒ぐだろう。 

そして大会後の、オリンピック「強行」による損失の政治的責任といった「スキャンダル」材料の予想もつく。

 

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そんな政争に関わらず、ワタシのような庶民はどうするか、少しは考えておかなければならない。

 

❶ 現政権にとって、オリンピックが盛り上がれば盛り上がるほど歓迎だから、まん延防止だろうが緊急事態だろうが、通りいっぺんの自粛以上を強くは求めないだろう。大々的なTV放送、開会式会場周辺のような物見の人出、都心の何ら通常と変わらない人出、こうした動向すべては歓迎される。
飲食店にはもともと満員御礼に匹敵する「協力金」支給など不可能なのだから営業継続も(実質)尊重される。

 

❷ このため、感染し症状がひどくなったら完全看護の病院にあっさり入院できると期待すると間違う。だからアセトアミノフェンであれ漢方薬であれ臨時治療薬を貯めておく必要がある。


❸ いまのところワクチン以外、重症化を防ぐ手立ては考えにくい。現在は、ワクチンの打ッタモン勝チになっている。デルタ株であれ現行ワクチンの効果が無いわけではない。ワクチンには人類支配のためのチップが混じっているだの、そもそもコロナウイルスは存在しないだの、つまらない陰謀論に関わったり、かっこつけたりしない。我が家は(職域接種もあり)家族全員8月中には2回目とも終了する。

 

❹ 夏休みに家族旅行・帰省をするなら自家用車にする。満員の公共交通機関をわざわざ利用しない。混雑した電車は止むを得ず都心に通う時だけで十分である。

 

❺ こうして人混みを避けたり、インフルエンザ流行時から習慣になっている外出後の手洗い、うがいは続ける。それでも感染したら仕方がない。

こんな感じでいる。

 

 

*1:山崎正和「おんりい・いえすたでぃ‘60s」、文春文庫、1985

*2:

yusakum.hatenablog.com