続 ・ たかがリウマチ、じたばたしない。

このブログは「たかがリウマチ、じたばたしない。」の続きです。喰うために生活することも、病気でいることも闘いです。その力を抜くこと、息を抜くことに関心があります。

実家という「空き家」を処分すること

これは

富裕外国人によって支配されていく日本人

の続きです。

 

ξ

ワタシの知人たちの実家(故郷)は、北海道から九州まで広範囲にわたっている。

つまり皆、地方から東京のような大都市に稼ぎに来た連中ばかりといえる。

 

たいていの知人は、長男たるものが代々、田畑家屋敷(でんぱたいえやしき)家督を相続するといった立派な家柄には生まれていない、フツーの庶民だ。

だから長男であっても実家を離れ都会で仕事をしているのだが、田舎の実家の処分問題はたいていくっついてくる。

中高年ともなれば田舎に残してきた老親の介護にあたることはまれとしても「空き家」になった実家処分の手間は免れないことが多い。

 

20世紀末には、すでに少子化が始まっており、長男長女の結婚も普通になっていたので、夫側、妻側の両方の実家の処分を背負い込む事態も、まれとはいえなくなった。

 

ワタシは転勤して都内に住むようになってから、田舎の老朽家屋などまったく不要、ワタシの兄弟もまったく同様で、二束三文で処分して何も問題はなかった。

草ボーボーでは近所迷惑、家屋自体も危なく、さっさと処分することを迫られていたのでせいせいした。

 

ξ

1980年代末期、東京が壮大な不動産バブルの頃、ワタシは初々しい社会人としてはるかな北国から、なにが起こっているのかさっぱりわからないまま、遠い景色のように眺めている傍観者だった。*1

 

やがてバブル崩壊して後、不動産価格高騰で住宅取得を諦めなければならなかった人々の怒りの激しさが表面化した。(ように見えた)

バブル崩壊で大損こいた者たちへの怨嗟も激しいものだった。地上げに噛んでいた不動産業者が潰れ、関連大企業が潰れ、銀行が潰れた。ザマァミロ!というような空気が蔓延した。(ように見えた)

 

しかし1990年代半ば以降のリストラの嵐を地味に生きた者からみれば、ひたすら怨嗟を振りまいていたのは、雑な気分に浮かれて住宅購入の頭金すら用意できなかった浪費癖の、何もかも人のせいにする連中だった。(ように見えた)

中高年が住宅購入や老後のためにコツコツと貯めていた金融資産が多いのは当たり前なのに、オールドメディアが資産の世代間格差を煽ればすぐ便乗して怨嗟に騒ぐ連中だった。(ように見えた)

 

この反面教師の出現こそバブル後の、ワタシの<収穫>だった。

 

ξ

最近は、実家の処分問題は、2方向に分化してしているようにみえる。

 

実家が遠い知人は、時々、空き家の管理のため、車を飛ばして帰っているが、ド田舎の老朽家屋は簡単には売れず苦労している。どう考えてもさらに年を取れば遠距離運転は無理であり、最後は更地化して行政に引き取ってもらうようなことになるのかもしれない。まったくの持ち出しである。

従来から続いている実家の空き家問題はこのように深刻化している。

 

東京都でも、今年の納税通知書には「住んでいない実家・自宅の処分でお困りの方へ」とのチラシが同封されている。

 

 

具体的には

  • 相続した実家を売却したいけど、どこに相談すればいいんだろう
  • 相続した実家が遠方にあり、なかなか管理に行けない
  • 施設入居で自宅が空き家に、どうしたいいの
  • 空き家を処分しようにも、遺品整理が進まない
  • 親も高齢で、実家が空き家になるかも、今のうちにやっておくべきことは

など、困っている人は「空き家ワンストップ相談窓口へご相談ください」とPRしている。

 

ついでに

  • 空き家を放っておくと、区市町村「特定空家等」と判断すれば、固・都税の住宅用地特例が適用されなくなり税額が高くなる。
  • 相続した実家は、令和6年4月1日から相続登記が義務化される。

などの「脅し」も記載されている。

要は、空き家の放置は、周辺の生活環境の保全のため許さないということらしい。

相続登記も確実にさせて不動産の管理責任を明確にさせ、諸税の取りっぱぐれがないようにしたいということか。

 

相続税に影響しなければ子どもたちは面倒な不動産分割の話し合いを先送りするので、相続に伴う実家の所有権移転登記など放置される。その結果、実家の納税通知は他界した親宛のままになっていることが多い。

たいていは子どもたちの誰かがまたは分担して納税し続けているので、差し迫った登記の必要性を感じない。

実は我が実家も売却処分するときまで相続登記をしなかった。しかしその時、遺産分割協議書を改めて作成することになり二束三文の割に大変時間がかかった。

 

ξ

ところがもう一方、首都圏に(処分すべき)実家を持つ者は、ここ10年以上、地価が上昇しつづけているので恩恵を受けるかもしれない。

知人の話によれば、実家処分を先送りしているうちに査定価格がどんどん上がってしまったそうだ。

そういえば我が家のポストに時々入る戸建やマンション販売のチラシを眺めていても、チラシを見るたび上がっている! と言いたくなるような状況といえる。

東京オリンピックが終われば不動産市況は暴落すると、まことしやかに言われたが、外れた。

 

わかりやすいので戸建でなく新築マンション価格の長期推移のグラフを掲げると、東京23区、首都圏、近畿圏ともきれいに右肩上がりである。

新築マンション平均価格推移(不動産経済研究所資料)

つまり首都圏のみならず札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡など中核的な都市近郊では同じ事情といえるかもしれない。

 

こうして20世紀末のバブル期と同様、大都市圏に(処分すべき)不動産を持つ者と、それ以外では資産の格差が拡がるだろう。

 

しかし同じ20世紀末に、この種の問題は、当然、ワタシの<収穫>果実としてカタがついている。

つまりこのような格差は資本制社会において自身の努力や自己責任に帰すことのできない偶然だから、コタコタ思い悩むに値しない、まったくの思考の無駄だということである。

確かにヒトは努力や自己責任から逃れたいがために思考の無駄(親のせい、国家のせい)をダラダラ口走っては溜息をつく癖がある。

しかしヒトは、わずかなを見つけては動き出すもの、自身の努力や自己責任に帰すことができる未来に手を付けていくもの、といつも思っている。

これは、親の因果、国家の因果から逃亡することを意味している。*2

 

 

《追記》

この記事をアップして後、たまたま次のようなニュースの配信に気付いた。

空き家処分の実例を紹介した記事だが、個人的には売り手・買い手間の直接相対取引はやめた方が良いと思える。築40年程度の中古であれば地盤沈下、地中基礎から柱・外壁・屋根に至るまで劣化具合の判断が必要だがアマチュアにはわからない。まして肝心な耐震性能などまったくわからない。相当の中古はプロ(不動産屋など)でも解体処分を勧めることが多いと思われる。

(2023.6.23)相続した空き家 どうすればよいか困っていませんか? | NHK | ビジネス特集

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