続 ・ たかがリウマチ、じたばたしない。

このブログは「たかがリウマチ、じたばたしない。」の続きです。喰うために生活することも、病気でいることも闘いです。その力を抜くこと、息を抜くことに関心があります。

「かなり愚かな」有権者として走り書き

選挙期間中、いつものことだが面白くなかったのは、ネットジャーナリスト(ネット以外あまり仕事が無いので炎上期待で目立たなければならない記者)が人々(特に若者)の「政治的無関心」を嘆いていたことである。

これは間違いだ、という感触をワタシは持っている。

 

民放テレビの開票速報中、事前調査によれば、概して若年世代が自民党を支持し、高齢世代が野党を支持しているという傾向が報告された。

これは興味深かった。

なぜなら大手メディアから、高齢世代は自公政権とつるんで年金や医療費の多くを現役世代に負担させている、だから自公政権を倒すしか現役世代、若年世代は救われないという、反対の理屈がしきりにばら撒かれてきたからだ。

 

これに関連してかつて、新聞購読部数の減少に危機感をもった大手新聞が

見得で複数紙購読していた「団塊世代」が、リタイア後、一紙に絞ったり完全にやめて去っていったので新たな購読層として囲い込みたい現役世代をターゲットに、高齢世代優遇批判論=現役世代被害者論に転換した

というウワサがあった。

その後最近まで、その大手新聞の論調を折に触れて観てきたが、世代間対立・分断を煽る論調は確かに増えた印象を持った。

 

テレビの一部は、開票速報の最中ですら

渋谷交差点は、ハロウィン騒ぎで仮装した若者たちで溢れ、この若者たちの2/3は、変わりばえのしない政治に嫌気をさしたのか投票には行っていない、と意味ありげに報道していた。

 

ところが翌11/1、自民党が「絶対安定多数」と言われる大勝利が決まると、事前予想が完全に外れた言い訳のように、大手新聞の一部は「若年層が自民党を支持した可能性がある」などと、ようやく言いはじめた。

衆院選で全465議席確定 自民261、立民96: 日本経済新聞

 

これは若年世代は、若年世代として一様にシラケた顔付きをしていなければ気が済まない(高齢世代は高齢世代で同じ顔付きをした層として括ってしまおうとする)うわっついた世代論特有の思い込みの結果である。

 

こうした選挙結果にキレたのか元官僚の前川喜平という人物が、不可思議なツイートをして騒ぎになった。

 

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その「かなり愚かな」有権者のひとりとして言わせてもらえれば、安倍元首相の言い草じゃないが、「こんな人たちに」国民がバカにされるいわれはない。

 

いずれ選挙結果分析はいろいろされるだろうが、国民の「政治的無関心」批判については言いたいことがある。

 

❶ 若年世代と高齢世代の投票率差があるにしろ(あったら何が問題なのか)、投票した若年・高齢世代それぞれの投票行動の誠実さはまったく同等だと思える。

若年世代がシラケているわけでも高齢世代がムキになっているわけでもない。また、その反対でもない。

 

 その結果、次のようなことがフツーに起こる。

人々は自民党の一強を前提にし、そのなかで候補者を決める。比例では政権与党に投票しても、甘利には投票しない、という行動はフツーに起こる。またバランス的に比例は野党に投票しても小選挙区自民党公認とすることもフツーに起こる。

「愚か」でない人々だけが夢想している「保守リベラル」などという政治フィクションは、「かなり愚かな」人々は信用してもいないし通用しない。

 

❸ ワタシの身近な範囲では、身体的に不自由な高齢者層も、介護人がいなければ投票が困難(億劫)だから、どんどん投票行動から落伍しているのに、その未投票がメディアで話題になることは無い。

一方、ハロウィン騒ぎに興じていた未投票の若年世代は政治的に意識の低い人々の象徴のように報じられる。

つまりメディアは意図的に若年世代を選別し非難している。

 

❹ 国政選挙自体はこの50~60%台の投票率に属す人々によって担われている。この人々が選挙結果を決めている。

強制も罰則も一切無い先進国に共通の話だが、国政選挙で50~60%台は少しも異常ではない。

暴力的な選挙妨害もない環境のなかで、民主主義の崩壊など起きていない。

総務省以外に)投票率をひたすら上げようと騒ぐのはリベラル特有の行動だが、それが大きく実現されるのは、中庸も、平穏も、安定も損なわれた騒擾の世の中である。

そんな騒然としたディストピアを、強固な生活思想は、エンターテインメント以外に少しも望んではいない、と思っている。*1